黒部峡谷を描いた作品
塩出英雄作品集

「遠山初雪」
1994年(平成6年) 194×248 (二曲一隻屏風) 紙本着彩
第79回 院展出品作
朱や橙に紅葉した木々の中に常緑樹の緑が鮮やかです。 「深山新緑」 1995年(平成7年) 65×91 紙本着彩 第50回 春の院展出品作
後立山連峰の青い峰々の頂には、雪が白く輝いています。
平成6年の第79回院展に出品されたこの二曲屏風に描かれているのは、
トロッコ電車の終点、欅平にある展望台から望んだ晩秋の黒部峡谷の様子です。
先生は、何度か黒部を取材に訪れましたが、その都度、霧や雨によって展望を
遮られていました。それがやっと晴れて描くことができた作品です。
澄みわたった空の青と遠くの峰々の雪の白さに、手前の山々の橙と緑の色彩が
対照的ですが、それらは作家の絵筆によってやさしく包み込まれています。
秋のうららかな日差しの中に、手前の山から連峰へ、そして空へと爽快な展望が広がり、
山々や樹々の色や形の巧みな構成が心地よく感じられます。
作家の塩出先生は現在も第一線で活躍されている日本画家で、制作当時82歳で
したが、この作品は瑞々しい色彩と若々しい感動にあふれています。
木々の一本一本まで丹念に描きこまれた密度の高い画面から、自然との対話を楽しみ、
その風景を謳歌している作家の姿が垣間見えるような気がしてきます。
心和む、いつまでも眺めていたくなる風景です。
